蚊のオナラやノミのあくびについて考えずにいられないまどさん
今日紹介する本は「いわずにおれない」
ジャンル
インタビュー・詩集 になります。
「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」など誰でも生きている中で一度は必ず聞くであろう詩・童謡を作られている詩人「まど・みちお」さんへのインタビューとその関連した詩が収められた一冊となっています。
編集者からのインタビューに受け答えするまどみちおさんの様子も書かれており、目の前にまどみちおさんがいらっしゃって、カフェで一緒に話しているような感覚で読むことができます。写真やイラストも豊富でまどみちおさんの人となりがイメージしやすく、読みやすい本でした。
著者
まど・みちお
経歴/職業
1909年11月06日 山口生まれ
道路、橋梁工事の測量・設計・施工、工業学校教師、工場の守衛、子どもの雑誌や本の編集などの仕事をしながら、童謡や詩を発表
1959年 「ぞうさん」がHNKで初放送され、広く愛されるようになる
同年 勤めていた出版社を退社し、創作に専念
1992年刊行の「まどみちお全詩集」で芸術選奨文部大臣賞などを受賞
1994年 日本人で初めて国際アンデルセン賞作家賞を受賞
2014年2月 老衰のため逝去 満104歳
この本の発行は2005年で、その時点でも96歳でした。スゴいですね!
あらすじ
まど・みちおさんの詩の特徴
私の場合、詩は「つくる」っちゅうより「生まれる」という感じがします
と第1章でまどさんはそう言います。まどさんの詩は平易な言葉で、時にはひらがなだけという幼稚園生でも読み上げることができる詩を書かれますが、その一言一言にまどさんの込められた想いが入っています。
例えば、有名な「ぞうさん」で「ぞうさん、ぞうさん、おはながながいのね」とありますが、言われた子ゾウ側にはからかいや悪口と受け取る人が多いのではないでしょうか?
しかし、続きは「そうよ、かあさんもながいのよ」と自慢しています。これはどう想いが込められているのか?
簡単なようでも考えてみると深いのが、まどさんの詩の特徴です。誰でも歌えそうだけど、誰でも歌うことができない。そんなまどさんの窓、を通してでしか感じられない、見えないものが詰まっているのがこの本となります。
先程の問いの答えは本書にもちろん書いてあります。本を読んでみると、普段何気なく過ごしてしまう一瞬や目の前にいる人や虫、植物すべてにこんな見方があるんだと感動すると思います。
ぜひ読んでほしい人
ぜひ、詩が苦手な人、嫌いな人は、ぜひ読んで欲しい1冊になります。特に小学生を含めた学生にオススメです。
学生なら読書感想文が楽しくなると思いますし、国語や詩を教える側も読んだら、より文芸や詩を楽しく教えられるようになること間違いなしです!
まど・みちおさんは本書の時点では高齢でしたが、その感性は子供っぽく、また子供がふと疑問に思うことを突き詰めて考えて、表現される方だからこそ、感じられることがたくさんあると思います。
普段慣れ親しんでいる詩人だからこそ、その詩だけではなく、その詩が生まれた源泉である感性や生活を垣間見える本書を通じて、詩を書くってこんなに自由なんだ、詩を読むのって楽しいことなんだと感じられることがたくさんあると思います。
感想
まど・みちお、と聞いて知らない人はほぼいないんじゃないかというくらい有名な詩人である「まど・みちお」さん。
けれど、この本を読むまで私はまど・みちお、という名前は聞いたことあるけど、その人となりはほぼ知りませんでした。童謡や国語の教科書で読んだことはあってもどんな方かを知ることはなく、どういう想いを込めたのか、ましてや、どのように詩を書いているかなんて考えようもなかったです。
しかし、本書はまどさんの普段の生活やインタビューでの様子を詳しく書いていて、こういう視点があるから、あのような詩が生まれるのか~と感動しました。
読んでみて、率直に、まど・みちおさんは本当に面白い(笑)。
本書の3章で「蚊のオナラやノミのあくびについて考えずにいられないまどさん」というのがそれを表しているなと感じました。
そんなまどみちおさんは美智子上皇后、宇宙飛行士の毛利衛さんなど多くの有名人の熱心なファンを持つのにも関わらず、インタビュアーが「恐縮してしまうほど謙虚だ」と言うのも驚きでした。
「いわずにおれない」と言うまどさんの視点を通して、この世界の新しい面白さ、楽しさ、喜びをきっと発見できる1冊だと思いました。
合わせてオススメ
こちらもまど・みちおさんのように短く、平易な言葉で詩を書かれる詩人「柴田トヨ」さんの詩集となっています。まどみちおさんの詩が好きな方はぜひコチラもオススメです。
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