現代詩とはぐれたのはいつですか?
今日紹介する本は「今を生きるための現代詩」
ジャンル
文芸・評論 になります。
本書は多くの詩が引用されていますが、その詩の「解読」を目指すものではありません。詩人である作者の視点を通して、現代詩の楽しみ方を知るための評論となっています。
著者
渡邊 十絲子(わたなべ としこ)
経歴/職業
詩人
1964年 東京生まれ
早稲田大学文学部文芸科在学中、ゼミで詩を書き始める。
卒業制作の詩集で小野梓記念芸術賞。
代表作に詩集『Fの残響』『千年の祈り』や書評『新書七十五番勝負』などがある。
あらすじ
本書の特徴
一般的な詩の評論であれば、「詩の解読」を目指すものが多いですが、本書は違います。詩人である作者の視点を通して、現代詩の楽しみ方を知るための評論となっています。
ですので、なんと本書では、筆者も理解できていない詩も出てきます(笑)。それは筆者が投げやりなのではなく、詩人でも『現代詩は難しい』と本音を語っています。しかし、それと同時に『むずかしいからおもしろいのだ』と言います。
また、日本人は詩との出会いも良くなく、再会するのも難しいと言っています。
本書では、教科書に書かれている詩から始めて、「なぜ詩に抵抗感を覚えるのか?」「なぜ詩を楽しめないのか?」という疑問を解いて、それから様々な特徴的な詩人の詩を引用しながら、詩はこんなにも自由で、こんなにも味わい深いものだと教えてくれる一冊となっています。
ぜひ読んでほしい人
詩が苦手な人、嫌いな人は、ぜひ読んで欲しい1冊になります。特に中学生を含めた学生にオススメです。
国語や詩を教える側もオススメです。
本書を読むと、いかに教科書の詩が「これは読みやすかろう」「感動的な詩」だと載せつつ、実は学生には読みにくい詩が多ったのかが分かります。
「私は詩が苦手だ」「私には詩は読む素養がない」という詩に対する思い込み、誤解が解かれる一冊です。
子供たちに教える側も詩を楽しく教えられるようになること、間違いなし!
感想
私は普段から詩をよく書いているのですが、詩を始めたきっかけが『人生を変えてくれた恩師が詩をやっていたから』というのがありました。
詩を書くことで、その書いている心情を知りたい、その詩を深く味わえるようになりたいと思って始めましたが、恩師の詩はそうですし、色々な方が書かれた詩もイマイチ味わえている気がせず、なかなか深く読めずに四苦八苦する日々でした。
私には詩を読む素養がないのかも……
と思うことも多々ありましたが、本書を読んでみて、「詩が読めないのは詩人でも当たり前なんだ」と考えが転換するようになりました。詩を書く側でもその詩を全てわかっているわけではないというのも驚きでした。何度も読む中で、また1つ分かり、振り返る中で、また1つ分かり、同じようなことを経験することで、また1つ味わえるようになっていくものなんだと感動するようになりました。
ぜひ、普段から詩を読み書きされる方も読んでみてください。
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こちらは本サイトの詩・小説編になります。詩を書き始めてみたいと思っている方にオススメの記事となっています。
コメント
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